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わがはじ!

めんどいオタクのブログ。

誰がために評論はある。

同人

本日、東京は高級SM風俗のメッカこと五反田にある「ゲンロンカフェ」というところに行って来た。知っている人からしたら、何を今更wと笑われるかもしれないが、行って来たのは行って来たので、その感想やら思ったことを書こうと思う。

 

それも完全に思いつき。前日の夜に酔っ払いながらツイッターを眺めていたら「東浩紀×斉藤環×さわやか オタクの時代は終わったのか」というなかなかゼロ年代評論拗らせた人間にとっては熱い面子が話すトークショーをやるとのこと。それぞれ著作は読んだ事あっても、直接話しを聞いたりしたことはなかったのでチケットを購入。仕事もそこそこに五反田に向かうことにした。

 

そのレビューでもないんだけど、なんと言っても個人的に収穫だったのが東浩紀氏のイメージがガラっと変わったこと。そういえば氏の著作「動物化するポストモダン」を読んだのは既に10年も前。内容も忘れていたり、各SNSなんかでも炎上しているのを見て「どうせ、すかしたインテリサブカル気取り」という印象が強かったが、話しを聞けばどうもあの頃の本田透のような趣が強い。未だに「うる星2 ビューティフルドリーマー」を掲げながら「修行しないヤツはオタクじゃねえ」「オタク度で娘は俺を抜かせない」と叫んだりかなりのファンダメンタリストだった。個人的に好感は持てたものの、まぁ敵は多いのも納得。

また斉藤環氏も「あずまんが大王」が大好きとのことで、著者のあずまきよひこ氏がエロ作家時代の「序ノ口譲二」という名前を出すも、分かる客もおらずほぼスベったりとなかなか会としては楽しいものだった。

 

種々話が転々とした後「現在のオタクってどうなのよ」という本題的な議論へ。ソシャゲに代表されるコミュニケーション消費コンテンツ、人と繋がる事を前提にした二次創作など果たしてそれらは「本当のオタクの姿」なのか、という疑問提示が各人から行われた。そして最終的に東氏の「結局、今のオタクって何に心を震わせているの?」という問いが、今回個人的には一番引っかかった言葉だった。

僕自身も、昨年の夏に発刊した同人誌の中で同じような問いをしている。「オタクでよかった。そう思えることってありますか?」が一貫したテーマになっていた。同様な問題意識を持っているオタクというのは、ある程度の世代ならば結構いるものである。

 

それにしてもゲンロンカフェなどで展開されているオタク批評的言説は、10年前にはもっと意味合いが大きかった気がする。過去当時のオタク論の役割としては、勃興するコンテンツをカテゴライズし、一体美少女という存在はオタクにとってどのような価値を生み出すのか。またそのオタクとしての愛好が、単なる物語の消費に終わってないか。要は、あくまで硬派な存在としてのオタクを守る、あるいはそうした対象を観察する為の評論であったと僕は思う。

しかし現在において、オタク論はあまり意味を為していない。今回の東氏のように原理主義的に「オタクとはかくあるべき」と発したところで、そのこと自体にどれだけの意義があるであろうか。本人も自覚している通り、周囲がオタクという存在を既に飲み込んでしまっている時点で、そうした高い自意識をオタク達に促す「評論」に意味がなくなってきてしまっている。今日の鼎談を聞いて、最も感じてしまった結論はそれである。

 

それではこれからの評論が行うべきこととは何であろうか。

先にも上げた弊サークルの既刊「今、オタクであること。」では5人の方にオタク論を吹っかけ、色々話しをしてもらった。まさにオタクがオタクを語るという構図そのものなのだが、コンセプトとしたのは「主体的に何かを創っている人」に限定した点である。つまりは、自分もオタクだが、オタクに対して何かを発信・創作をしリスクを背負っている人を集めたのである。

そうすることで、読んだ人はコンテンツには人が携わっているという想像力が沸く。そして、そうした人達がどのようなルーツを抱えているのかを知る。あくまで愛好する対象の裏には人間がいること、それを伝えたいという思いがあった。そうすることで、逆説的に「自分がオタクでいさせてもらっていること」を考えるきっかけになれば、と思ったわけだ。10年前の「自分はオタクなのか」という問いがナンセンスなものになってきてしまったからこそ、オタクという自覚をもう一度、ひっくり返す時期が来ているのだと思っている。

 

それ以外の同人誌もコンセプトはほぼ一緒である。色々な人がリスクを背負って活動をしている。そのリスクとルーツを知ることで、反面的に自分のあり方を考える。マジョリティとマイノリティの対立を、観念でなくリアルに追体験させたい。なので主体的に動いている人をメインに、話しを聞いてきたし、これからも聞いていきたいというのが僕個人としてのやりたいことだ。

今回、ゲンロンカフェで聞いた話から、結局自分語りになってしまったのだが、ひとつ改めて自分がしてきたこと、またこれからしていきたいことの整理がついた気がする。改めて今年もいくつか企画はしているので、なんとか時間を縫って同人誌製作に勤しみたい所存だ。