わがはじ!

めんどいオタクのブログ。

迷えるサラリーマンに効く日本語ヒップホップ4選

 

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どうも普通の営業職やってるリーマンにもヒップホップって、親和性があるんだな。ってことに気付いてきたので、毎度にわかながらそんな話です。あと、この4月から仕事始めるフレッシュマンな人にも、良いかなと。

 

 

約2ヶ月前。日本語ヒップホップと始めてちゃんと向かい合った結果、こんなエントリを書いた。

wagahaji.hatenablog.com

今も尚人気沸騰中の「フリースタイルダンジョン」に、にわからしくハマリ、日本語ヒップホップの可能性に魅入られたその日の勢いで書いたこの文章である。早いもので2ヶ月が経ってしまった。正直これを書いた時には、今熱っぽく書いてるけどこれだけで気分が盛り下がっちゃったらどうしよ。とか思ってたんだけど、幸いにも未だにMCバトル動画や、音源を漁ってみたりと、熱が自分の中で定着しかけてきている。

 

そして、チョロチョロながらも種々、色んな方々におススメ頂き、動画だけでなく音源を聴くようにもなってきている。最近では通勤の間はヒップホップを聞くことが8割以上。そんな中で、昔から感じていた、ヒップホップに対するひとつの誤解が解けてきた感がある。

 

それは「不良文化やゲットー文化が色濃いからこそカッコいい!」という文脈である。普通の生活送ってるヤツらに対して、非日常というかアングラな生き方だからこそ、人間の深部に根ざせる。その在り方こそヒップホップだ。みたいな。だから普通に暮らしてるヤツはウェルカムじゃねえぞ。という印象を受けていた。

 

確かにそうした傾向はあるけれど、実際聞いてみると、日頃の生活の中で感じる不安や理不尽さ、あるいは自分を鼓舞するような歌詞だったりと、普通に労働し、日々を生活する人に響くものがかなりある。今回はそんな視点からこの音源は労働前や仕事後。または、日常に対して尖ってみたくなる、また今の道でいいのか、そんな悩みを抱えているサラリーマンに効きそうな4枚のアルバムを選んでみた。

 

①DOTAMA/「ニューアルバム」2015

subenoana.net

FSDやMCバトルにしっかりとハマッたのはこの人のおかげだった。僕が当初抱いていたヒップホップに対する先入観を取っ払ってくれたのがこのDOTAMAである。そもそも風貌が、黒縁メガネに前髪パッツン黒髪と、めっちゃサブカルくさい。でも言ってることがキチガイみたい。なんとも腐女子に受けそうである。そのあり方が「不良文化」に対するアンチテーゼのように感じられて、一瞬で興味を持ちこのアルバムを聴いてみた。

 

2ndとなるこの「ニューアルバム」はある程度、音楽で生きていけるかもしれない、というDOTAMAの希望と、それでも尚不安は纏わりつくという葛藤をつぶさに見ることが出来る。③「名曲の作りかた」は、そのまま「名曲の作り方などねえよ」という自虐とも取れるサビが印象的。「前作は名盤だから遺作にしたい」と本作を完全に否定しにかかるこの自意識が、何とも拗らせた30前後感が味わえて堪らない。

 

また個人的に圧巻なのが⑦「自宅ユニバース」⑧「要求」⑨「リクルート」までのこの流れである。本人のサラリーマン時代を彷彿とさせ、いかに自分がラッパーとして生きていくかという自分の中の言葉の応酬をそのまま見させられているようだ。⑦「自宅ユニバース」は最早ミクスチャーパンクのような音色に乗せて、高速で乗っかってくる言葉の波が最高に気持ち良い。⑨「リクルート」では「塞ぎこめるのも才能だ」と人生における道の選択を経験した人にしか言えない言葉が染みる。

 

日頃、30前後のリーマンが無意識下で感じている社会への焦燥感やモヤモヤした向上心みたいなものを、如実に一枚のアルバムに込めてくれている。捻くれていそうで、相当真っ直ぐなこのアルバム。下手したらサラリーマン以上にDOTAMA好きな腐女子には是非マストな1枚である。妄想に拍車がかかること必至である。

 

ザマギ/「すごい話があるんだ、聞いたらたまげるぞ!」2005

www.amazon.co.jp

一部ネット界隈では、その斬新なMVや展開方法からかなりの人気を博していたザマギ。僕自身、ザマギを知っていたけど、どうも「ヒップホップ」というジャンルにくくるには違和感があった。「マジカルDEATH」など聞き込んでいた影響から、ダンスミュージックというかエレクトロだったり、そんな印象の方が強かったからだ。ただ、今回この音源から曲単位でなくアルバム単位で聴いてみると、その言葉の流れの気持ちよさに改めて感服。これは葛藤とか暗部に向かうのでなく、日常をストレートに楽しむ。とことんそんな気分にさせてくれる1枚ということで、チョイスした。

 

②「くらっ」や③「It's so good now(い・そ・ぐ・な)」辺りは、動画サイトから人気が波及し、踊れるダンスチューンとしてかなりの認知度がある曲かと思う。ただ、それ以外の曲も相当に聴いてて楽しいものがある。①「Brand new day」はまさに1日の始まりに相応しい。メンバーがそれぞれ互いを誘いあって、出かけよう。今日は何が起こるんだろう、と聞く人をワクワクさせるノリがとても心地よい。方や ⑦「めんどくさいvsやってみようのスタイル」では、日頃のちょっとした、やるかやらないか、めんどいけどやらなきゃ、という小さな葛藤に対して楽しそうな対話調で背中を押してくれる。

 

各曲、BPMに関係なく、一つ一つの単語の歯切れが良いので1枚通して軽い心地で聞くことが出来る。重いテンポや心根に届くようなどっぷりとしたモノではなく、1日、あるいは一週間の重い日常の始まりに対して足が軽くなるような作品。ヒップホップの入門としても聞きやすく、単純にノレるのは有り難い。現在では活動や情報更新が止まってしまっているので、今後何かしらの形での復活が待たれる。

 

③田我流とカイザーソゼ/「田我流とカイザーソゼ」2015

www.maryjoy.net

この1枚は完全に受け売りなのだけど、これもヒップホップに対する先入観を破ってくれた作品だった。とにかく生バンドが綺麗。このアルバムの最初に流れるピアノの音色を聴き「この作品は一体なんなのだろう」と一瞬で魅入られた。高い演奏力に裏打ちされた気持ちの良いファンクミュージックに乗っかる田我流の熱い言葉。これまでも当然生バンドモノのヒップホップはあったのだろうけど、このコントラストは僕にとっては衝撃的だった。またその音作りだけでなく、その歌詞ひとつひとつがとことん染みる。

 

特に①「坂」のしょっぱなのパンチラインで心を打ち抜かれた。「坂を昇りタバコを咥えて 落下する太陽で火をつける」こんな最高に詩的なリリックから始まるこの1枚は、とことん男としての美学を語りとおす田我流の田我流を示す作品だと言える。③「Tasty」では30代男性が仕事にも遊びにも脂が乗り、その時間を魅力的に歌う。サビでは女性コーラスでR&Bテイストに「色々あるけど 歳を重ねて生きていくほどに 分かってくる想像以上に 人生は深く味わい深い」とカマしてくる。三十路を控える陰鬱なアラサーのひとりとしては「なんだか歳を取るって悪くないかも。」と前向きな気持ちにさせてくれるのである。

 

他にも、彼女とのなんともない日常の幸福を歌う④「アレかも」や、自身の音楽への原点回帰を示す⑥「JUST」なども良い。そして、このアルバムの実質最後を飾る⑧「あの鐘を鳴らすのは、、俺」は和田アキ子の名曲を捩りながらも、自分自身がヒップホップで栄光を掴むと宣言する歌詞には、その熱さに涙すら浮かぶ。音色から歌詞そして歌、すべての要素を含んでも1枚通して、男として聴き応えのある名盤だと断言できる。

 

鎮座DOPENESS「100%RAP」/2009

groundriddim.com

即興MCバトルの天才としてファンも多い鎮座DOPENESS。まさにフリースタイルという言葉がそのまま当てはまるライミングは、リズムだけでなくメロディすら自由に操る。熱く、また地元を背負って立つようなそんな猛者が多い世界の中で、宇宙人的な軽さを感じ、そしてひらりと言葉で相手のdisをかわしていく。そんな彼の音源は果たしてどのような作品なんだろう・・・と思い、手に取ったが最初の印象はまさにイメージどおり。レゲエからファンクと幅広いワールドミュージックを取り入れ、自由自在。自分の味が全面に押し出されている。しかし、しっかりと聞き込む中で思った以上にグッとくる歌詞があったり、いちサラリーマンとしても聞けば聞くほどにスルメな1枚となっている。

 

挨拶曲となる②「オラハラッパー」では軽いノリの中でも、とにかく1曲韻を踏みまくり。言葉のチョイスから、その言葉の流れも実に独特で気持ちよい。このタイプで言えば⑦「乾杯」~⑨「能天気野郎」に続いていく。日常のつらさを忘れさせてくれるような歌詞、そして鎮座DOPENESS特有の軽さ。「はいじいちゃん、はいばあちゃん 人生ってやつは何て素晴らしいんだ はい、父ちゃん、はい、かあちゃん、こんな俺を産んでくれてほんとありがとさん」優しいレゲエ調のトラックに綺麗にハマる。

 

また労働者として深く頷きたくなるのが⑥「ドンスタ」である。社会や仕事で男としての責任を要求される立場だけれども、無理なものは無理。「現代社会頑張りすぎ 生産向上止まらない」これは言い訳なんかじゃねえと、あくまで客観的なことなんだと、主張するその姿勢になんだか救われた。寧ろ鎮座DOPENESSという生き方をしている人でさえ、そんな事を思ったりするんだな。と人間らしさをそこに垣間見て、余計に好きになった。日々の仕事の中、鎮座流の軽さと意外な葛藤から、ふと肩の力を抜くにはピッタリなアルバムだといえる。

 

 

ということで、好き勝手長々と書いてきたけれども、こういうアルバム紹介記事は基本的にオナニーだ。ただ、自分の日常にここまで根ざし始めているヒップホップってものを一度整理をつけてみたかったし、営業職で悩んでるようなサラリーマンが聞いても、全然「入る」んだなっていうのがとても新鮮だったのである。そんな驚きを誰かと共感出きればと思い気付けば4000字。これから出張に出かける身分としては、愚痴混ざりな気がしないでもないけれど、もし同様に鬱蒼とした社会人が要れば是非聞いてみて欲しい。きっとフレッシュマンにも同様に響くことだろう。にわかながらに、書いてみました。