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わがはじ!

めんどいオタクのブログ。

今ビートルズという存在を考える

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2002年、ポール来日時の『レコードコレクターズ』久々に読み込んでしまった

・チャートの価値が薄い時代で

ポールマッカートニー御年74歳が現在来日中である。今週火曜日に行われた武道館ライブを皮切りに東京ドームで数回ライブをやって帰るとのこと。いやぁ、74歳がロックスターとして健在なのもびっくりだが、やはり今も尚熱心なファンがついているというもの凄い。

 

気づけば1970年がビートルズ解散だから、そこから半世紀が経とうとしている。当然解散後のソロとしての楽曲も演奏されるが、ライブの半数以上はビートルズナンバーだろう。50年も前の曲がいまだに愛され、そしてここまでの熱狂を呼ぶということはただ事ではない。

 

事実、僕も結構厄介な類のビートルズのファンである。音楽を聴いて初めて泣いたのは小学6年生の頃に誕生日で買ってもらった『Abbey Road』のB面メドレー。もうそれは感動してずっと泣いてた。そして15年前のポール来日ツアー「Driving Japan Tour 2002」は親に本気でせがんで行かせて貰ったし、更に言えば記憶にはないのだが音源化もされた生前のジョージハリスンの「Live in Japan」にも親が連れて行っていたらしい。これほど記憶が惜しいと思ったこともない。まぁ、他のビートルズファンが同様にしてそうであるように、僕も語りだすと本当に面倒な顔をされるタイプのビートルマニアなのは自覚している。

 

ただ、大学時代。軽音楽部に所属していたのだけど、僕ら世代より下から「ビートルズってそもそも何がすごいんですか?」「音が古いですよね」「音圧がしょぼい」とかそんな声も聞こえたりして。更にこの前イギリスのBBCのニュース番組でも若い子に「ポールマッカトニーって知ってる?」と聞くと結構な割合で「知らない」と答えるという特集が組まれており、衝撃を受けたりもした。

 

過去は「この曲、ビルボードで8週連続1位だったんだよ」とか聞くと「スゲー」と子供心に思ったものだが、確かに今の時代。いくら「ビルボード何週間1位」とか「メロディメーカー誌で1位」とか言ったところで、音楽チャートの意味すら通じなかったりする。こと日本においても「オリコンチャート」なんて言葉も聞かなくなってきた。どこの国でも、聞く音楽は細分化され皆が聞く音楽なんて一様でなくてよい、という常識がまかり通った時代に「チャート1位」を推されたところで「はぁ」と頷く他ないのも理解できる。

 

・音楽の時代を作ったバン

ここから面倒なおっさんの思いの丈だけを述べていくよ。音楽シーンがここまで多様化した時代というのも、ここ最近ではなかったように思える。今や音楽など配信が当たり前となり、好きな楽曲をDL、そして定額聞き放題というサービスも定着しつつある。みんなが何を聞いていようと関係ないし、好きなジャンルを自分の枠内で楽しむ。それが今の音楽に対する世の中の姿勢のように思える。

 

ただ、ではいつから「みんなが同じ音楽を聴くようになった」のだろう、つまりポップミュージックが生まれたのだろうと考えてみると、それはおそらくビートルズが登場して以降とも言えるように思える。相当暴論ではあるものの、いわゆる音楽シーンの高まり自体50年代からのことである。ブルース、ジャズ、カントリーなどからロックンロールやR&Bが派生。様々なレーベル、レジェンドミュージシャンが生まれる中で1960年にビートルズも結成される。

 

恐ろしいのは、それまでの音楽史と断絶しているほどのポップ性である。もともとジャズバンドのミュージシャンを親に持ち種々の音源を聞きまくっていたボンボンのポール、そして恵まれたとは言えない生い立ちでストイックかつ天才であるジョンという出会いからすべては始まる。考えてみればわかるが、50年代のスターといえばチャックベリーやプレスリーと言ったブルース/カントリーを激しくしたロックンロールの原型が最も新しかった時代である。そこに昨今のJPOPにも通じるようなコード展開の楽曲をぶち込んだ衝撃は計り知れない。

(かなり前だが、アルフィー坂崎幸之助が初期ビートルズのコード展開の複雑さをオールナイトニッポンで語っていたのが懐かしい)

 

そして活動期間はわずか10年。その間に多くの音楽史を塗り替えていく。面白いのはビートルズ楽曲だけを聞くのではなく、当時の音楽シーン全般を聞くと非常に楽しい。パクリというには憚られるが、やはり同様のコンセプトで登場した二匹目のどじょうたちの出来が、相当いいのである。顕著な例を挙げればモンキーズなどがそれに当たる。当初は「ビートルズバンド4人のコメディテレビドラマ」という企画を皮切りに始まったものの、名曲をいくつも残すこととなる。また、有名な話ではビーチボーイズの傑作『Pet Sounds』はビートルズの『Sgt.Paper's Lonely Herats Club Band』を聞いたブライアン・ウィルソンが一念発起して作った作品であることも知られる。

 

ビートルズが活動した10年間は「いい曲を残してきた」こと以上に音楽シーンそのものの土壌を作ってきた時間だといえる。音の音圧などを批判する気持ちは正直わからないでもない。所属レーベルのEMIも60年代の後半までマルチトラック録音を蔑視する風潮はあったようだ。(68年に発表されたMillenniumというバンドの『Begin』は諸説あるけどポップスで初めて16トラック音源を採用したとされていて、今聞いても異常なほどに音も作曲もレベルが高い。単純に時代の問題ではないようである)それでも音としてシンプルだからこそ、そこに織り込まれている工夫や『Sgt.~』のようにコンセプトアルバムという概念を作った姿勢に一つ一つ向い合うと音楽がおそらくより面白く感じられるのではないかと思った。

 

・音楽の楽しみ方を教えてくれる存在

という具合に好き勝手言ってきたが、ビートルズを聞くということはポップミュージックの成り立ち、音楽シーンの成り立ちを聞くことにも繋がってくる。先にも言った通り、あまりにもそれまでの常識と離れた音楽性を持っていた為に、世界中のポップスがそこで変遷期を迎えるのである。今や『Hey Jude』が教科書にも載る時代である。ビートルズなんて真面目な音楽聞けるか、などと思っているいい感じの青少年には、後期にはなるがパンクロックの祖と言われる、通称ホワイトアルバムThe Beatles』に収録されポール作曲の『ヘルタースケルター』をおすすめしたい。やはりビートルズ楽曲は確かに彼らからしたら「古いおっさんたちの音楽」ではあるが、当時の状況や時代を少しずつ考えてみると、ビートルズがどれだけ破天荒だったのか。あるいは新しいことをやろうとしていたのかが垣間見えてくる。ご存知の通り正力松太郎を打ち破り日本武道館で最初に音楽ライブをやったのもビートルズである。

 

音源としても申し分ないし、各アルバムともに傑作と呼んでも問題のないクオリティ。だから、今の世代にビートルズを勧めるには・・・とお題目を考える前に、まぁまずは聞いてみろというのが一番手っ取り早いものの、やはり面倒なオタクの性故に滔々と漏らしたくなってしまった次第である。とかく、あの時代においてはめちゃくちゃ新しい事をやっていたということは事実だし、一度金字塔を打ち立ててしまえば音楽というものはなかなか死にはしないものである。それは彼らに教えてもらった気がする。

 

今これだけいろんなジャンルの音楽や、音楽の楽しみ方があふれている時代だからこそ、もっと若い世代がそのシーンの広がりを作った扇の要をチェックすれば、きっとより音楽は楽しいものになるし、ちょっと閉塞気味なシーンにまた新しい風が吹くのではないだろうか。とか。そんなことを整理もせずに書き散らした次第です。すみません。